亀ちゃん主演の『PとJK』を観てまいりました。警官と女子高生の秘密の恋というキャッチコピーの通りラブストーリーではあるのですが、その期待を上回る内容でした。今回もネタバレ部分を含みますので、まだご覧になってない方は決して中を開かないようにお気を付けください。
『PとJK』あらすじ
高校一年生の歌子(土屋太鳳)は親友の三門(玉城ティナ)の姉が開く合コンに人数合わせで参加することになる。お酒を飲むのは絶対だめ!と念を押されていたのだが、お酒をすすめられて困っているところに、身代わりになってお酒を飲んでくれたのは功太(亀梨和也)だった。合コンが終わり二人きりでいい雰囲気になったのに、気のゆるみから、16歳であると口を滑らせてしまった歌子。未成年と聞いて態度変わる功太。功太は清く正しい警察官で、未成年との不純異性交遊は許されない。功太の剣幕に驚いた歌子は夜道を一人で歩き、クラスメイトの大神(高杉真宙)のいる不良グループにからまれ、助けにきた功太をとっさにかばってけがを負ってしまう。歌子の行動に驚きながらも特別な感情が止まらない功太は歌子にプロポーズをする。
洗濯、料理、家のインテリア。。。内緒の二人の暮らしはドキドキするような時間。しかし、二人は出会ったばかりでお互い知らないことが多い。まじめで柔軟性がない根っからの警官気質の功太は歌子とぶつかることもある。歌子の友達となった大神に「不良」だと決めつけた態度をとり、歌子は「私はバカな女子高生で、大神君は不良にしか見えないんでしょ」と功太に純粋な気持ちをぶつけてくる。功太は役人として動く自分の行動に気づかされ、大神を見守っていく。歌子との生活の中で功太は少しずつ心がほどけていく。
警官だった父が目の前で死んでいくのを見ていた功太は、愛するもののために死ぬことも厭わないのが警察官だと思っていた。不良グループにさらわれた歌子を救い、負傷する功太の姿に、歌子は危険をおかしてまで仕事をする功太が心配で耐えられなくなり、別れを決意する。
歌子のいない生活の中、功太は防犯講座で歌子の学校を訪れる。そこで三門は「危険な警察官を続けているのはどうしてですか」と功太に問いかける。功太の答えは?そして功太は歌子の結婚生活はどうなるのか?
この物語の芯にあるのは警官、亀ちゃんの成長物語
亀梨君と言えば、前回の『ジョーカーゲーム』でかっこいいスパイの役がはまっておりましたが、今回はまじめな警察官の役がはまるのか?というのが気になるところではありました。朴訥な役って亀ちゃんに合うの?
これが合うのですよ。
原作と映画ではかなり内容が変わっています。どちらかと言えばもはや、漫画は原案レベルにとどまっている印象。
物語の芯にあるのは「功太の人間として、警察官としての成長」です。
最初(イケメンだけど)表情のない、役人の顔をした警官が、16歳の高校生の言葉によって成長していく物語。最初のころは
- 不良は危険と決めつけて、規則に従って事件を処理する警官
- 殉職した父への思いを歌子にいうことができないで心を閉じている
のですが、「私はバカな女子高生で大神君は不良」と歌子に言われてハッとします。そうやって、肩書や見た目で判断をしてその場をやり過ごしている、自分に気づくのは歌子がいたから。そして、大神に向き合うと大神の事情が見えてくる。それまでは一つの事件にしか見えなかった大神。大神には背負うには過酷な人生があることを初めて実感する。実感して手を差し伸べることで警官としての成長していくのです。
また、功太が父親の死が自分に責任があるとずっと思い続け、「愛するものを守って死んでいく」のが当たり前と思って心を閉ざして生きていたことにも変化があらわれます。歌子が「守るために死ぬのではなく、生きていてほしい」という言葉と姉が言っていた「(父が守ってくれたことは)ごめんではなく、ありがとう。前を向いて歩け」という言葉が重なり、父のためにも前を向いて“生きて職務を全うしよう”と警官の仕事の意味が変わっていきます。
愛する者がいるからこそ、人は変われる。その亀ちゃんが変わっていく姿が今回の見どころです。
廣木監督が亀ちゃんの成長を話の中心においてくれたことはうれしい限り。亀ちゃん今回もいい仕事しております。
女子友のような永倉二郎を演じる西畑大吾君がかわいすぎる。
廣木隆一監督は女の子を撮るのがとても上手な監督です。太鳳ちゃんの表情のとらえ方が天下一品です。かわいいな~太鳳ちゃん。功太君が好きでたまらない歌子ちゃんのウキウキ具合がかわいくて悶絶です。でもね、ここで言いたいのはそれだけではありません。廣木監督のかわいい女の子フィルターにかかっている一人が、なんと!われらが西畑大吾君なのです。歌子ちゃんのお友達役で出てくる、永倉二郎君を今回、西畑大吾君が演じているのですが、廣木監督にとっては、ほぼ女の子と同じ扱いで、ものすごくかわいく撮られています。いや、ある意味、ここに感動です。歌子ちゃんは三門(玉城ティナちゃん)と二郎の三人で仲良しなのですが、二郎はほぼ女子友としての登場です。一切恋愛をにおわせない、かわいい小動物な存在の二郎ちゃん。西畑大吾君といえば、関ジュ映画のセンターポジションで、ちょっと男らしさを感じさせているのですが、今回はとにかくかわい。むしろ今回の大ちゃんにやられました。画面に大ちゃんが出るたびに「かわいい」を心の中で叫び続けていました。大ちゃんの文化祭のコスプレも見ものです。
大ちゃんの主演映画はこちら
そして疾走感のある長まわしがどれもいい
今回のロケは函館です。函館っていい街ですね。どこを切り取っても美しい。廣木演出の疾走感のある長まわしが今回、函館の風景の中、気持ちよく表現されています。太鳳ちゃんが自転車にのって、坂を滑り降りるところの疾走感はなんだか一緒にサイクリングをしているような気持になります。そしてなんといっても、幸せな最後の長回し。このシーンを観るだけでもこの映画を観にきたかいがあるというようなシーンに仕上がっています。(ここでも、大ちゃんかわいいんです。)
本日の独り言
太鳳ちゃんが、二人の新居の窓の壊れに、JKらしいかわいいシールでつぎをしているのですが、このかわいいつぎが二人の関係を象徴するいい小道具になっています。あのつぎを通して二人の関係がどうなるか注目してみてください。本当にかわいい恋愛だな~
作品データ
タイトル |
PとJK |
監督 |
廣木隆一 |
脚本 |
吉川菜美 |
原作 |
『PとJK』三次マキ |
キャスト |
佐賀野功太 亀梨和也 本谷歌子 土屋太鳳 大神平助 高杉真宙 矢口三門 玉城ティナ 永倉二郎 西畑大吾 本谷誠一 村上淳 本谷陽子 ともさかりえ 小森ふみ 大政絢 山本修一 田口トモロヲ
江口のりこ、川瀬陽太、河井青葉、古谷佳也、高橋メアリージュン、瀬戸利樹、小林優斗、松永拓野、松本大志 |
製作年 |
2017年 |
製作国 |
日本 |
配給 |
松竹 |
上映時間 |
124分 |
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