ジャニアイ、少年たちが千穐楽を迎える中、初日を迎える舞台もあります。ジャニアイ、亀ソロを観終わって、やっと来れたのが桐山照史君出演の『アマデウス』。映画でごらんになった方もいらっしゃるでしょうし、舞台は今回の公演中になんと450回を迎えるので、舞台をご覧になった方もいらっしゃるでしょう。由緒正しきこの舞台に我らが桐山照史出演します。先に言っておきます。想像超えてます。世界的、歴史的作曲家を照史君がどう演じていくのかレポします。
『アマデウス』あらすじ
1823年ウィーン。32年前に亡くなったヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの死因について街に噂が流れていた。宮廷楽長アントニオ・サリエーリ(松本幸四郎)がモーツァルトを暗殺したというものだった。
サリエーリは独白を始める。
時は彼が38歳である42年前にさかのぼる。神に祈りを捧げ、イタリアからウィーンに渡り、宮廷作曲家として順調に出世をしていたサリエーリだったが、彼の前に下品で軽薄な言葉をまき散らしながら宮廷を歩き回るモーツァルト(桐山照史)が現れた。とまどうサリエーリであったが、サリエーリの曲を一回聴いただけで、すべてを暗記し、あまつさえ、良くないところを作曲しなおしてしまうという若き天才作曲家を前に心が穏やかではなかった。
天才と呼び声高いモーツァルトであったが、その奇抜な言動で仕事にあぶれ、生活に困るようにもなった。妻のコンスタンツェ(大和田美帆)はサリエーリに仕事の口利きを頼んでくる。神が自分ではなくモーツァルトを選んだことに嫉妬していたサリエーリはコンスタンツェに仕事を紹介する代わりにモーツァルトの楽譜を持ってくるように指示をする。そこでサリエーリが見たものは一つの書き直しもない完璧な楽譜だった。モーツアルトは頭の中で浮かんでくる音符を書き写しているだけ。天才だけがなせる業だった。嫉妬の炎がサリエーリを包む。サリエーリは神と共に生きるのではなく、対立をしていくことを決意し、表面上はモーツァルトをサポートする振りをしながらモーツァルトの仕事を奪っていった。
モーツァルトは英雄が語るオペラではなく、人間の感情を表現できるオペラを作ろうとしていた。驚異的なスピードでモーツァルトのが作り上げたのは『フィガロの結婚』。
完璧な曲を書き上げたはずだったが、世間には受け入れなかった。失意のモーツァルトを襲ったのは厳格な父の死だった。
憔悴していくモーツァルトになおもサリエーリは詰め寄っていく。
巨人松本幸四郎を前にしても軽やかな照史君
照史君の舞台は様々観てきてはいるのですが、これほどまでに自然でありながら、どこまでも考え抜かれた演技を見せたことがあったでしょうか。もはやモーツァルトの天才っぷりが降りてきたかのような照史君をレポします
おバカな天才の壊れ方
イタリアの音楽家がもてはやされ、お上品な宮廷において、天才モーツアルトは殴り込みをかけるかのように下品にぶちかまします。周りから眉をひそめられるような、うんこだ、おならだ、お尻だというシモのワードの連発。そこら辺のワードの取り扱いがさすがとしか言いようのない軽やかさ。(←あれ?褒めてる?褒めてるよっ!!!)関西のお笑いの臭いさえ漂わせています。さすが浪速のモーツアルト。いやなんかキダタローっぽい。そんなつもりじゃなかったのに。卑猥さがちゃんと笑いにつながっているところが照史君の手腕です。エロくない、無邪気な子供のようなはしゃぎっぷり。ファンとしてもこういう照史君が観たかったと言いたくなるような楽しいモーツァルトが展開されます。
その上、天才作曲家が軽々とサリエーリの曲を添削しちゃうくだりのかっこよさ。ピアノを弾ける男子は3割増しといいますが、なめらかに演奏する照史君(本当に弾いてるわけじゃないけど)かなり高得点です。
サリエーリとのパワーバランス
前半モーツアルトは一向にサリエーリにこびへつらうことなどしません。彼が崇拝するべきは彼自身の才能のみだからです。しかし後半になるにつれ、モーツアルトは困窮し、宮廷社会で生きることの辛さにぶつかります。初めてそこでサリエーリの存在に気付く。世渡りのうまいサリエーリはここぞとばかりにモーツァルトを追い詰めていきます。前半とはうってかわって憔悴しきったモーツァルト。
父から宮廷社会での生き方について常に怒られていたモーツァルトは困窮する生活の中で父の死を知り、とり乱します。うわべだけの宮廷生活の中で本当のことを言ってくれるのは父だけだった。もう味方はいないと悟ったモーツァルトはついにサリエーリにすがり、そしてサリエーリの謀略に深くはまっていくのです。見向きもしない存在から徐々にサリエーリのパワーに押され落ちていく。この落差も俳優桐山照史のみどころです。
本日の独り言
- リバウンド大王、照史君が今回とてもスリム。天才、作曲家、モーツァルト。どの言葉をとっても、照史君のイメージとは違うのに(失礼)はまってくるのはひとえにこの体系からなのではないでしょうか。アマデウス終わったらリバウンドしてる照史君もみたい。
- 今回コンスタンツェを演じる大和田美帆さんはバカップルを演じるのにぴったりのお相手。(←めっちゃ褒めてます)あほ同士のセリフの間合いが絶妙です。大和田美帆さんはガラスの仮面でマヤの役を演じていましたが、まさにガラスの仮面をかぶるように演じられていたのが印象的。
作品データ
タイトル |
アマデウス |
製作年 |
2017年 |
上映時間 |
2時間45分(途中休憩20分有) |
監督 |
松本幸四郎 |
脚本 |
ピーター・シェファー |
出演 |
サリエーリ 松本幸四郎 モーツァルト 桐山照史 (ジャニーズWEST) コンスタンツェ 大和田美帆 ローゼンベルク伯爵 立川三貴 シュトラック伯爵 外山誠二 ヨーゼフ二世 廣田高志 スヴィーテン男爵 松井 工 ボンノ(宮廷音楽長) 中平良夫 ヴァルトシュテーテン男爵夫人の家令 世古陽丸 テレサ(サリエーリの妻) 杉浦悦子 サリエーリの料理人 豊富 満 サリエーリの従僕 角間 進 影 松本高麗五郎 風 二反田雅澄 風 清田智彦 ヴァルトシュテーテン男爵夫人 水月 舞 カテリーナ 泉関奈津子 サーヴァント 加瀬竜彦 鈴木健介 西村雄正 丸山裕征 長谷川直紀 北尾林太郎 |