ちゃかちゃん、しめちゃん、うみんちゅの舞台が始まりました。1950年代のアメリカの全寮制学園の舞台にした映画の舞台化になります。ネタバレが含まれますのでまだご覧になってない方はご注意ください。
- 『いまを生きる』あらすじ
- 個性の異なったDK達の輝き
- 演劇を愛するDKを演じて、演技力爆上がりのちゃかちゃん
- 男子校ナンバーワンの女子力高めDKしめちゃん
- 嫌なDKを細部まで突き詰めて演じるうみんちゅ
- やはりジャニーズが関わるべき舞台
- 本日の独り言
- 作品データ
『いまを生きる』あらすじ
1959年.アメリカ、バーモント州の全寮制男子高校ウェルトンアカデミー。生徒たちはノーラン校長の方針に従い、有名大学を目指すべく厳しい規律の中で息の詰まるような生活を送っていた。
新学期になり、風変わりな英語教師、ジョン・キーティング(佐藤隆太)が着任する。最初の授業でキーティングは教科書の一部を破り捨てろと生徒にけしかける。それぞれの顔を窺う生徒たち。
詩は分析されるものではなく生きる原動力、世界を変える力があると熱く語るキーティングの言葉に生徒たちの顔は輝いていく。
父の期待に応えようとする優等生のニール(宮近海斗)
裕福だが破天荒なチャーリー(田川隼嗣)
勉強ができるが臆病者な三―クス(浦上晟周)
クリスという女の子に夢中なノックス・オーバーストリート(七五三掛龍也)
転校してきたばかりで口数の少ないトッド・アンダーソン(永田崇人)
それぞれが教科書を破り捨てる時、体の中に何かが走った。
最後まで教科書を破らなかったのはキャメロン(中村海人)だった。学校の規律をキチンと守る彼にとって、教科書を破るという壁は厚かった。それでもキーティングの言葉についに教科書をやぶる。
この学園のOBだというキーティングのことが知りたくなったニールは卒業アルバムを探し出し、キーティングが「死せる詩人の会」を結成していたことを知る。ニールもクラスの仲間を誘い、若きキーティングがしていたように、夜、洞窟に出かけそこで詩の朗読をするようになる。
「死せる詩人の会」で生徒たちは思い思いの気持ちを発散させていく。そしてまたキーティングの授業に夢中になっていく。クラスになじめないアンダーソンにキーティングはホイットマンの詩から彼の内なる情熱を引き出し素晴らしい詩を仕立て上げる。アンダーソンの心にも火がともった。
生徒たちに変化が起こった。ノックス・オーバーストリートはクリスについに電話をした。ニールは父から勉強以外の活動を止められていたにも関わらず、大好きな芝居のオーディションを父に内緒で受ける。
ニールの父親はニールの言葉を一言も聞くことなく、芝居をやめるように叱り飛ばす。しかし、芝居の楽しさを知ってしまったニールにとって芝居を辞めることは考えられなかった。
シェイクスピア夏の夜の夢のパックを演じたニールは大絶賛を受けたが、父親が下した結論はニールにとって受け入れがたいものだった。その夜、「死せる詩人の会」の参加者はいつものように集まって生きる喜びを声に出していた。ニールは一人自宅で、クラスの仲間とは違う決断をする。
個性の異なったDK達の輝き
これを機会に映画「いまを生きる」を見返してみたのですが、今見ても、変わらない心揺さぶられる映画でした。ロビン・ウィリアムズが演じるジョン・キーティングの生徒をみる温かい眼差しと彼の話を目をキラキラ輝かせて聴く生徒たち。生徒たちの中にはもはやビックネームになったイーサン・ホークも含まれています。
今回日本舞台版の「いまを生きる」はこの映画の内容を大筋なぞる形をとっています。佐藤隆太さん演じる、ジョン・キーティングは決して上から目線ではなく、自由に生きることの楽しさ、自由に生きるためには大変な勇気がいることを生徒に伝えていきます。一方生徒たちは息のつまる学園生活の中でも、ジョン・キーティングの授業にあたたかな光を見出し、それぞれが違う方向で輝いていきます。この生徒の輝きが今回の最大の見どころ。個性の異なったDK達、とりわけ我らがTravis Japanの3人の輝きについてみていきます。
演劇を愛するDKを演じて、演技力爆上がりのちゃかちゃん
ちゃかちゃんは、その昔、イーサン・ホークが演じたニール・ペリーの役で登場します。ちゃかちゃんは昨年主演舞台『太陽のかわりに音楽を』を務めていましたね。
優等生でありながら、両親との関係がうまくいっていない転校生、トッド・アンダーソンの境遇に自分に重ね、「死せる詩人の会」に誘います。優秀でありながらも仲間を思いやるニールの優しさに回りの人が心を寄せずにはいられません。
そんな彼が演劇に足を踏み入れた時の輝き。好きで好きでたまらない幸福感が体から漏れ出しています。彼を待ち受けていたのは、演劇との決別というあまりに過酷な現実であり、大げさでなく、彼にとっての死そのものでした。死の直前、幸福そうにパックを演じるちゃかちゃんは生きるという実感を人生で最も感じていたに違いありません。この次の瞬間にはいなくなってしまうからこそ鮮やかに「いまを生きてる」ちゃかちゃんが見どころ。ちゃかちゃん、昨年より、ガンガンと演技力を伸ばしています。
男子校ナンバーワンの女子力高めDKしめちゃん
しめちゃんはノクシャスの呼ばれ、みんなからからかわれながらも、憶することなく自分の好きな女の子についてひたむきに向き合う青年を演じます。
前回は『マリウス』のベトナムの女の子を好きになる青年の役でしたね
今回も恋に夢中です。
クリスという女の子の詩を朗読する時のしめちゃんは恋に生きてます。女の子を好きになるしめちゃんですが、男子校においては、向かうところ敵なしといったレベルでキュートなDKです。キーティングが「今までとは違う視点をもて」と言われ、生徒がみんな机の上に立つのですが、降り方が女子みたいにかわいい~。こういうちょっとしたしぐさにしめちゃんのかわいらしさが出ちゃっています。
ラスト、キーティングとの別れのしめちゃんはトッドに続いて行動を起こす、男らしさを持ちながらも、その決断を下す前の考えている顔がこれまたかわいすぎ。
嫌なDKを細部まで突き詰めて演じるうみんちゅ
そしてうみんちゅは、学校の規律を守る、優等生キャメロンを演じます。今回の生徒役の中で最も、難しい役の一つ。一言で言ってしまえば“嫌な奴”。自分で考えることなく、学校の規律を守っています。
映画を観ると、キャメロンはジョン・キーティングの最初の授業で、驚くほど忠実に黒板の内容を映しているのですが、うみんちゅのノートをオペラグラスでみていると、ちゃんと板書しています。舞台上ではクローズアップはないので見難いところですが細部をちゃんと演じているうみんちゅ。さすが美は細部に宿る(©青木源太)のトラジャさん。
キャメロンは他の生徒たちと違って、自由に生きること自体に不安を感じています。だからこそ、がんじがらめの学校生活のほうが頭を使うことなく楽に過ごせていたのにキーティングの存在にはどう対処していいかわからずに戸惑います。結果的にキャメロンの告白からキーティングの追放は始まります。「キーティングは救えなくても、自分は救える」というキャメロンのセリフ。クラスメイトに対してというより、自分を説得するかのようなセリフにも聞こえます。
キャメロンにとって、キーティングの存在はなにも影響を与えなかったのかという疑問に対して、うみんちゅはラストシーンで答えをだしています。トッドをはじめとする生徒の行動とは違うけれど、彼の表情の中にもキーティングへの思いが演じられています。ここキャメロンの見どころです。彼はあえて、あそこで立たないんだけど、彼の思いも詰まってるんです。ラストのキャメロン見逃さないでいただきたい。
やはりジャニーズが関わるべき舞台
それにしてもよくぞこの企画を立ち上げてくれました。企画立案者に感謝をしたい思いでいっぱいです。トラジャさんたちを全寮制の男子校の生徒にしてくれて、ブレザー着せてくれて、その上ダッフルコートまで羽織らせてくれて。企画立案者わかってるな~と思わずにはいられませんでした。
ビジュアル面だけでなく、10代の生は生きること単体で語られがちだけれども、生きることは死と隣り合わせでもあります。だからこそ、より生が鮮やかに、尊いものとして浮かび上がってくるというのはジャニーさん哲学そのもの。ここにジャニーズタレントが外部出演するのは必然とも言えます。
本日の独り言
- 舞台上では袖にはけることなく、舞台の端で待機している生徒たちがかわいい。しめちゃんの座り方がかわいいのでぜひチェックを。
- トラジャさん以外だとトッドの永田君のキーティング前とキーティング後の成長ぶりがこの舞台最大の救いとして描かれています。その大きな救いを演じる永田君の演技にも拍手を送りたい。
作品データ
製作年 |
2018年 |
公演期間 |
2018年10月5日(金)~24日(水) |
上演時間 |
約2時間10分 (休憩なし) |
脚本 |
トム・シュルマン |
上演台本・演出 |
上田 一豪 |
出演 |
ジョン・キーティング:佐藤隆太 ニール・ペリー役:宮近海斗(Travis Japan / ジャニーズJr.) トッド・アンダーソン役:永田崇人 ノックス・オーバーストリート:七五三掛龍也(Travis Japan / ジャニーズJr.) リチャード・キャメロン:中村海人(Travis Japan / ジャニーズJr.) スティーヴン・ミークス:浦上晟周 チャールズ・ダルトン:田川隼嗣 ペリー氏:冨家規政 クリス:羽瀬川なぎ ポール・ノーラン:大和田伸也 |