滝沢歌舞伎ロス継続中ですが、KAT-TUN上田竜也君が座長を務める『新世界ロマンスオーケストラ』を観てきました。6股をかける無類の女好きのバンドマンを演じる上田竜也君が6人の女性の間を華麗にすり抜けるノンストップ修羅場コメディ。“観たい”上田君が惜しげもなく、てんこ盛り状態です
『新世界ロマンスオーケストラ』あらすじ
メジャーデビューを控えているインディーズビジュアル系バンド『新世界ロマンスオーケストラ』のボーカル、拓翔(上田竜也)は新曲作りに頭を悩ませていた。一度は作ってみたものの、納得がいかない。まるでこれではaikoだ。(←作風が合っていないっていう意味。aikoさんをディスっているわけではない)。曲が書けないのは彼女の玲奈(清水くるみ)といる時だ。拓翔は玲奈に別れを切り出す。しかし拓翔を運命の人だと信じている玲奈は取り合わない。玲奈を返し、拓翔は元マネージャーで元カノの志保を呼び出す。志保を抱きしめると体に衝撃が走り、創作意欲が刺激される。頭の中にAメロが浮かぶ。Bメロは今のマネージャーのそら(西田尚美)、サビはアイドルの美海(青山美郷)、間奏はお手伝いのランラン(根本宗子)とファンファン(長井短)女性と交わることで、拓翔は曲を作っている。ちなみにイントロは同じメンバーでゲイの柳澤(宮崎吐夢)といることで浮かんでくる。曲を作るために恋をしている拓翔は、心が安らいでいる時には曲が流れない。6股をかけてギリギリで“俺メロディ”を完成した拓翔。これからメジャーデビューという時に、6股の現場を週刊誌にスクープされてしまう。週刊誌に売ったのは誰なのか?拓翔は無事にデビューできるのだろうか
根本脚本に感謝しかない、これぞ“観たい”上田竜也
まず先に言っておくべきことは、根本宗子さんありがとうということ。
出てくる上田君の表情、言葉、ダンス、笑顔。
全部100億点です。
まずね
- 面白くてかっこいい
- クズ過ぎてかっこいい
- アイドルとしての存分にオーラを出し切っていてかっこいい
この3点ですね。お前全部かっこいいって言ってるだけじゃんよと思われるかもしれないですが、かっこいいにもバリエーションが豊富なんですよ、今回のうえぴーは。
面白くてかっこいい
根本さんありがとうと思う一つには、KAT-TUNネタを取り上げてくれている点にあります。ここはネタバレになるので書きませんが、メンバーネタや、曲のネタなど出てきます。メンバーネタのうえぴーの反応にご注目を。所々に出てくるシャドーボクシングも意味ないけどかっこいいです。
クズ過ぎてかっこいい
クズでかっこいいってところですが、あらすじにもあるように、6股をかけているバンドマンという説明だけでも充分クズですが、「彼女は6人欲しいな。日曜は休みで、回せるから」クズが!!!なんというクズなのでしょう。しかしうえぴーのすごいところは、この最高にくずなセリフを言ってなお、まぶしい。彼女の一人に彼氏がイケメンでよかったといわれて「俺も俺がイケメンでよかった」なんてセリフも飛び出てきます。その字面だけでは世間の批判を買うであろうセリフですら、うえぴーの口から洩れると、テンションがあがります。くずっぽいセリフが上田竜也の体を通るだけで、電流となって体を走るのです。これが玲奈いうところの「ビビッ」と来たってこと?え、私も来てるけどな。
アイドルとしての存分にオーラを出し切っていてかっこいい
そしてここが一番大切なのですが、〝アイドル〟として脈絡なくでもどこでもかっこいいというのが、この作品にとって一番重要です。
最大の見せ場がラ・ラ・ランドのシーン。まさに驚くほどにパクリなのですが、グローブ座の狭い空間の中で、6人の女とうえぴーが繰り広げるミュージカルシーンの完成度の高さ。ご存知のようにキレのいいうえぴーのダンスに目を奪われます。最近、ラ・ラ・ランドって曲が素晴らしいので、色々なところでパクリ、パロディ、オマージュが見られますが、これはラ・ラ・ランドさんにも送りたいほどの胸がいっぱいになるようなすばらしいパクリもとい、オマージュに仕上がっています。必見。これ、本当に映像として残しておいたほうがいいですよ。ジャニーズのグローブ座公演は出演者もそうだし、今後有名になるであろう脚本家や演出家がたくさんでているのだから、絶対映像を残して後世に伝えるべきです。シリーズ化してDVDにして欲しい(特に今回の作品は)これはジャニーズエンターテイメントに要望を出せばいいのだろうか。要望出したいです。
そして、もうここはネタバレになるので、口がさけても言えませんが、ラストのシーン。アッと口からもれてしまうほどのサプライズが待っています。そのためにこの装置があるんだね。アイドルってこの瞬間一番輝くんだね。このシーンを演出した根本さんに改めて拍手を送りたいです。
アイドルの生きる道。うえぴーの背負っている覚悟
運命の恋を描いているのですが、アイドル(ここでは売れっ子のバンドマン)はこういうものだというのが裏テーマになっています。拓翔は女性と恋愛することで曲を生み出します。曲を生み出すためにはドキドキするような経験を積むことが必要。そこに安住の場所はありません。安住の場を作ってしまったら、そこで輝きは失われるというのが拓翔の生きる道です。玲奈は運命の人というけれど、アイドルとしては拓翔の生き方は実は正しい。しんどい生き方ではあるけど、その生き方に中にアイドルの輝きはうまれる。そういうしんどさ込みで身を削って生まれる輝きだからファンの人もそこに惹かれるというのは実感としてあります。根本さんの描く、くずな男、拓翔がこんなにも素敵なのはちゃんと悩みながらくずを生きているから。そういう覚悟を背負ってうえぴーが役を演じているからこそ、より一層、うえぴーの輝きに吸い寄せられます。
うえぴーいい役を演じています。最後の挨拶の仕方も男前でした。「冬眠する熊に添い寝してごらん」「青い瞳」のインパクトのあるうえぴーの役も素敵でしたが、今回は情けなさや、くずな演技の中に込められたうえぴーの熱が新しい魅力となってあふれています。東京公演あと残り少ないですが、これはぜひ見るべき一本です。
作品データ
タイトル |
新世界ロマンスオーケストラ |
製作年 |
2017年 |
公演期間 |
4月30日~5月21日東京グローブ座 5月26日~5月28日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ |
上演時間 |
約2時間(休憩なし) |
脚本 |
根本宗子 |
演出 |
根本宗子 |
出演 |
拓翔―上田竜也 玲奈―清水くるみ 志保―早織 美海―青山美郷 ファンファンー長井短 ランラン―根本宗子 柳澤―宮崎吐夢 そら―西田尚美 |
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