映画『恋する♡ヴァンパイア』から約3年。トッツーのヴァンパイアが舞台になって帰ってきました。衝撃をうけました。映画と全然違うからです。映画と舞台は別物と言っていいでしょう。そして、この作品、ジャニーズが進むべき一つの指針を示しているのではないか(←大げさ?)。“観たかったヴァンパイアもの”の出発点のように思えました。すさまじくネタバレしてますから、まだご覧になってない方はくれぐれもご注意ください。
『恋する♡ヴァンパイア』あらすじ
哲(戸塚祥太)はヴァンパイア界では名門のヴァンパイア・インターナショナル・スクールに通う高校生。理事長の息子であるハルト(京本大我)が率いるイケてるグループBlack Iceからはいじめられ、成績も落ちこぼれの哲だが、自分の曲を世に配信できるように一流企業への就職を夢みている。あまりに成績が悪い哲は理事長室に呼び出され、そこで部屋に飾ってある肖像画の女性に一目ぼれしてしまう。
肖像画の女性は理事長のデレック(東山義久)が思いをとげることが出来なかった人間の女性アリサだった。デレックは哲に卒業試験を受けることを許すが、卒業試験とは「アリサにそっくりの女性を探すこと」だった。生徒は世界に散らばり、ホームステイをしながら、女性を探す。
哲は偶然、アリサにそっくりの女性、キイラ(樋口日奈)と出会う。アリサはキイラの孫娘だった。挙動不審な哲に疑念を抱いていたキイラだったが、哲の歌をきっかけに哲とキイラの心は通じ合っていく。そんな二人の様子をみていたのはハルトだった。ヴァンパイアの掟では「二十歳になる前に血を吸って愛の誓いをたてれば、永遠に添い遂げられる」のだ。デレックの欲望のために狙われているキイラ。哲はデレック、ハルト達からキイラを守ることができるのだろうか。
なによりもヴァンパイアの世界観
今回まず、最初にお伝えしなければいけない一大事は、
「観たいヴァンパイア」がジャニーズで演じられましたよということです。
映画ではキイラがヴァンパイアで哲の血を狙っているというストーリーでした。
正直、吸われるトッツー観るのはどうなのかと。
思っていたのですが。
なんと今回。
話が変わっています。
ヴァンパイアはトッツーサイドになっているのです。
勝訴!!!!!!(←なんのこと?!)
イメージビジュアルだけでなく、ストーリーが変わっているのですよ。
そして、演出は児玉明子さん。宝塚で演出を務められ、退団されてからは2.5次元の舞台を手掛けられているようですね。映画とは全く違う、「みたい耽美」の世界を作られています。
なんといっても、M1のカンパニーによる「ヴァンパイア・ソング」は吸血鬼の世界に瞬時にトリップできます。アンサンブルの黒のフードをすっぽりかぶり、マントを羽織って登場。トッツーの赤基調のスーツにマント、大我君の白、青基調のスーツにマント。吸血鬼じゃなくても、心拍数があがります。こういうのが観たかった。しかもヴァンパイアもので。
ミュージカルなので、ストーリーはかなりシンプルです。だからこそ、ヴァンパイアの世界観がこの舞台の見どころそのものになっています。
勝者、京本大我
さて、その中でも今回特に、特に強調したいことは。
京本大我君が頭ガンガン打ち付けたくなるほど、いい!
ということです。
大我君がヴァンパイアの世界観にぴったりくるということは大方予想できていました。
過去振り返ると、東宝ミュージカル『エリザベート』でのルドルフのハマり方は見事でした。
今年のハピアイでも『Monster』のところでドラキュラフライングしてました。もはやあれは予告だったんですね。
ヴァンパイア学校、スクールカーストのトップ
今回はヴァンパイア・インターナショナル・ハイスクールの理事長の息子でスクールカーストのトップに君臨するイケてるおぼっちゃまという役柄です。言い方を変えれば、ヴァンパイア界の道明寺とでもいいましょうか。この世に敵なしといった風格をまとった男なのです。
一曲目から持っていかれる
先ほども述べましたが、M1のヴァンパイア・ソングの大我君を見た瞬間に鳥肌が立ちました。この世のものに見えないのです。その耽美な佇まい。絵とか漫画とか、とにかく内蔵が入っていることを確かめたくなるほど、リアル感がありません。
もはや二次元となった大我くん
2曲目で殺される
M2Black Ice (大我君が率いるイケてるグループ)の中で「俺について来いよ(ウィンク)」に至っては、もはや人を殺す破壊力をもった生物兵器です。
他のメンバーが歌っている間に、ヤンキー座りしたり、う●こ座りしたりしているのですが、どのポーズも飾っておきたいほどに“絵になるんです”(←もう完璧壊れてる)
二幕で昇天
二幕M17ハルトの歌は父であるデレックが舞う中でハルトが歌う曲。ここだけ温度が低くなります。完成されたヴァンパイアの世界。噛む姿のセクシーは王道でありながらもこれ観たかったよねという画力の強さ。
そして極め付けは、キイラを連れ去るIce Blackと哲の戦い。もちろんトッツーを応援したいのはやまやまなんですが。
「俺たちを怒らせるなよ」
「顔だけはやめてくれって、マジで許さない」
なんてサディスティックなセリフをあんな耽美なルックで言われてしまうと、気づけばフラフラとIce Blackを応援してしまう自分がいました。(ごめん哲)
それほどまでに悪魔的な魅力を発散し続ける大我君。
- エリザベートの京本ルドにやられた方
- とりえあえずヴァンパイアものは大好物
といった症状をお持ちの方は、この京本大我を見逃すと後悔することになります。
草食系ヴァンパイアのとっつー
大我君と対照的にトッツーはとにかくイケてないヴァンパイアです。
- 人を襲うことが嫌いなので、血は動物の血を購入している
- ウサギと戯れる
- とにかくヴァンパイアの必修科目全般においてまともにできるものがない
- それなのに記憶を消すという技術だけは持っている
というのがとっつーです。草食系ヴァンパイア。
草食系を超えて挙動不審だけど。。。
草食系だけならまだしも、ホームステイ先の命令で、おっぱいクリームを売ることになるときの挙動不審さ。近寄ってきたら必ず逃げ出したくなるような不気味さをたたえている、とっつーですが、歌う時のとっつーのさわやかさ。気持ち悪い先に見えるギャップ萌え。
「君を守る」というベッタベタなセリフも挙動不審からさわやかに変化したとっつーならなんなくうけいれられるのです。
欲望と向き合う草食系
キイラと付き合うことになる哲。大事にしたいけれど、本能で血を吸いたいというジレンマに悩むというのは、真面目な男の子が彼女を大事にしたいけどエッチしたいとほぼ同義だと思いますが、そういう純朴少年をとっつーが体現しています。(大我君は食い散らかしててそこはそこでいいんですけどね。きゃー)
愛しているからこそのとっつーのとる行動は自分本位の欲望から最もかけはなれたもの。愛する人を守るために自分の存在をどう処理するのか。とっつーだからこそ、説得力があります。
大我君が2次元の美しさだとするととっつーは等身大の人間の純真さがみどころです。
本日の独り言
- ジャニーズのヴァンパイアの世界観に驚かされるとともに。だったらさ!Ice Blackのメンバー全部Jr.にしてよ!というのはわがままですか?今頭の中で残りの4人考えてます。
ジョセフ(筋肉自慢):岩本照
アーロン(心優しく、料理やガーデニングが得意):真田佑馬
タイガー(ITに長けている):川島如恵留
太郎(癒し系。早弁が命):諸星翔希
ぜひこのメンバーで再演していただきたい。 - キイラのお母さんを演じるのはアンダースタディでマネージャー役を演じていた小野妃香里さんですね。ふぉ~ゆ~の『壊れた恋の羅針盤』にも出演していました。ジャニーズにゆかりのある女優さん。娘を守るお母さん役熱演されていました。
- 多くは語れないけど、ラストのとっつーが。。。パンク次郎を思い出させました。
作品データ
タイトル |
恋する♡ヴァンパイア |
製作年 |
2018年 |
公演期間・会場 |
2018年3月9日(金)~11日(日) 東京都 天王洲 銀河劇場 2018年3月16日(金) 広島県 JMSアステールプラザ 2018年3月23日(金)~25日(日) 大阪府 森ノ宮ピロティホール 2018年3月28日(水)~4月1日(日) 東京都 天王洲 銀河劇場 |
上演時間 |
約2時間15分 (休憩15分含む) |
演出 |
児玉明子 |
脚本 |
鈴木舞 |
出演 |
哲:戸塚祥太(A.B.C-Z) キイラ:樋口日奈(乃木坂46) ハルト:京本大我(ジャニーズJr. / SixTONES)
ジョセフ:和田泰右 アーロン:高岡裕貴 タイガー:関根慶祐 太郎:皇希
サニー:新田恵海、菊地美香(Wキャスト) まりあ:小野妃香里 力彦:鎌田誠樹
デレック:東山義久 |