今年のふぉ~ゆ~は今までにないほどの舞台を数を増やし続けています。それもグループとしてでなく、ソロでの舞台活動が多く、その多くが大胆なる挑戦になっています。今回の福ちゃんこと福田悠太君の舞台も挑戦的な舞台の一つにカウントされる舞台となっています。今回もネタバレ含みますので、まだご覧になってない方はご注意ください。
「DAY ZERO」あらすじ
近未来,2020年アメリカは度重なるテロに対する戦争を行っており、選抜徴兵局は登録している35歳までのアメリカ国民に対し、徴兵を行うことが可能になっていた。学生時代を共にした弁護士のジョージ・リフキン(福田悠太)、タクシードライバーのジェームス・ディクソン(上口耕平)、小説家のアーロン・フェラー(内藤大希)のもとにも召集令状が届く。物語は召集されるまでの3週間を描く。
全く、異なる境遇の三人だったが、いじめられているジョージとアーロンを守ろうとしたジェームズが少年院に入ったことでその絆はゆるぎないものとなっていた。3人は召集令状が届いた日もいつものバーでビールを飲んでいたが、徴兵に対する考え方で三人の関係に緊張が走る。
ロースクールを出て、順調にキャリアを積み上げるジョージはなんとかしてこの徴兵を逃れようと上院議員とのコネクションを持つ父に働きかけていた。母は亡くなり、父は失踪中のジェームスは、国を守ることに誇りを持っていた。処女作がベストセラーになったものの次回作が全く振るわないアーロンは召集令状に混乱し、カウンセラーから3週間の間にやりたい10のリストを作ることをすすめられる。
召集日、デイゼロは刻一刻と迫ってくる。徴兵逃れのためにゲイになろうとゲイバーに出かけるジョージ、やりたいリストの中のドラッグを体験したアーロンはどんどんドラッグの深みにはまっていく。天涯孤独のジェームズは勤め先で知り合ったパトリシア(梅田彩佳)との温かい日々を過ごしていた。戦争に行きたくない思い。戦争から目を背けた思い。過去の自分の生き方。様々な思いが三人を締め付けていく。
召集されるその日。集合場所はペンシルバニア駅。三人はお互いを見つけることができるのか
本気の福ちゃんの底力
なんといっても今回最初に言っておくべきことは、福ちゃんこと福田悠太君の全身でぶつかりながらも、理性的に考え抜かれた、福ちゃんの全部出しが見られるということです。ふぉ~ゆ~の福ちゃんの実力はよく理解した上でも今回、福ちゃんは軽く予想を超えてきています。福ちゃんこんな表情したっけ?福ちゃんこんな歌の歌い方したっけ?福ちゃんこんな腹黒いセリフにリアリティあったっけ?と自分に問いかけること数回。いや、今回の福ちゃんはすごいです。安心してぶつかることが出来る共演者と演出家、そしてなんといっても脚本があるからということなのですが、それにしてもわれらが福ちゃんの座長としてのがんばりは目を見張るものがあります。
特に後半にある、心の中で目を背けてきた出来事に対して、決着をつけようとするシーン。福ちゃんの会話から生まれる表情の変化に、観ている側が頭を強く殴られた感情に襲われます。福ちゃんの代表作になるであろうシーンに立ち会えます。
そして歌。歌は元四季の方々やミュージカル経験者の中で、福ちゃんがどんな化学反応を起こせるか注目でしたが、充分に渡り歩いています。今後ふぉ~ゆ~のオリジナル曲も期待が出来ますね。
キーワードがジャニーさんセレクション?!
原作はロバート・マルカーニ原作のアメリカの映画ですが、それをオリジナルミュージカルとして上演しています。戦争に行く若者、少年院なんてキーワードが出てくると、すぐ『少年たち』を思い出してしまうのがジャニオタの悪い癖。
しかしながら、メイン三人が34歳想定ということで、少年たちよりも、長く生きた分だけ、過去を振り返り、今の自分の生活と今まで考えもしなかった戦争を向き合わせていく作業を見せてから、その上で出てくるのは「今日と同じ平和な日が明日も続くとは限らない」という『少年たち』と同じだという驚き。それほどまでにジャニーさんが伝えたいメッセージは普遍的にそして今の世界に問うべきテーマになっているとも言えます。ジャニーさんの思いを十分すぎるほど吸い込んでいる福ちゃんだからこそ、この物語の収まり方がスムーズすぎるほどはまっています。福ちゃんとジャニーさんの結びつきにも再び気づかされる一作に仕上がっています。
本日の独り言
- ザキさんはなにしてるんだろうな~と思う、帰り道
作品データ
タイトル |
オリジナル・ミュージカル「DAY ZERO」 |
製作年 |
2018年 |
公演期間・会場 |
プレビュー公演水戸芸術館 ACM劇場:2018年5月25日(金)~27日(日) DDD 青山クロスシアター:2018年5月31日(木)~6月24日(日) 刈谷市総合文化センター アイリス:2018年6月26日(火) サンケイホールブリーゼ:2018年6月28日(木)・ 29日(金) |
上演時間 |
約1時間45分(途中休憩なし) |
上演台本 |
高橋知伽江 |
演出 |
吉原光夫 |
作曲・音楽監督 |
深沢桂子 |
出演 |
ジョージ・リフキン:福田悠太(ふぉ~ゆ~) 梅田彩佳 谷口あかり 西川大貴 ギター:中村康彦 |